歯周病には、とくに初期の段階では、自覚症状がほとんど出ないので、歯科医療機関での検査を受けないと、正確な診断を行うことはできません。歯周病の検査は、プローブという針状の器具を使って歯周ポケットの深さを調べるプロービング検査、エックス線写真によって歯を支える骨の状態を調べるレントゲン検査、歯周病の原因となる歯の周囲の汚れ(プラーク)の付着状況を調べる検査などからなります。
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問診
現在飲んでいる薬やアレルギーの有無、過去にかかったことのある病気など、治療を進めていく上で必要な情報について聞き出します。歯周病の原因のほとんどは後天的(生まれた後に何らかの原因がある)なものですが、一部遺伝性のものもあるので(これは若いのに歯周病になってしまう人によく見られます)、家族の中に同じような症状の人がいないかどうかを聞いたりします。
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レントゲン写真撮影
肉眼で見ることのできない歯の中や骨の状態を調べることができる、非常に大切な検査です。
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ポケット測定
歯の周りの「歯周ポケット」と呼ばれる溝の深さを測り、歯周病の状態を検査します。基本的には、このポケットが深いほど重度の歯周病だと言えます。治療が進みポケットが浅くなったり出血しなくなったりしてくれば、歯周病が改善してきていると判断できます。検査の際には、ちょっとチクチクします。
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PCR
「プラークコントロールレコード」の略で、染色剤でプラーク(歯垢)を赤く染め出し、どこにどのくらい付いているのかを調べます。これによって普段の歯磨きがちゃんと出来ているかどうかや、どこが磨き残しやすい所なのかなどを調べます。
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噛み合わせの検査
歯に異常な力がかかることによって歯周病が進行していることもあるので、噛み合わせや歯ぎしりの有無などを調べます。
当院の歯周病検査には、位相差顕微鏡を導入しています。この位相差顕微鏡を使用することで、目に見えない歯周病菌の有無をテレビモニターで確認することができます。
しかし、症状が進むまでなかなか自覚しにくい病気のため、知らないうちに歯周病になっていたというケースが多いのです。歯ぐきから血が出る、口臭がある、歯ぐきに痛みや腫れがあるなど、思いあたる症状があれば特に要注意です。
歯周病は単に口の中だけの病気ではなく、全身の健康と大きく関わる病気でもあるのです。歯周病を予防し、もしかかっていても早期発見、早期治療で治すことが、全身の健康管理のためにも大変重要です。
当院では位相差顕微鏡を使って、患者さまのお口の中にいる歯周病菌を見ることができます。痛みはなく、本当に簡単な検査です。歯周病の原因菌を見つけ出し、その菌に合った除菌方法を提案させていただきます。
検査費 2,160円
※保険診療費、除菌された場合のお薬代については別となります。
歯周病は感染します。口移しなどで移りますので、パートナーの方も一緒に除菌処置をおすすめします。なお、顕微鏡検査(除去)のみも受付ております。
口の中には何千、何万と細菌が住み付いています。もちろん有益な細菌もいます。が、特に歯周病菌とカビが一番の悪者の筆頭です。顕微鏡検査をして、口の中に歯周病菌とカビが存在するようなら、胃がんを防ぐため胃の中からピロリ菌を取り除く除菌処置をするのと同じく、歯周病菌を取り除く処置を行います。歯周病菌とカビが少ないながらも共存するようなら、菌とカビを抑制するペリオバスター液(歯磨き液の一種)を処方して菌とカビを抑えます。
お口の環境を整えることで、歯周病の治療だけでなく、冠・つめ物を長持ちさせることができます。
当院では9年ほど前から顕微鏡検査を始めております。検査をされ、継続して受診されている方は、歯肉を切り取るような手術を行うケースがゼロに近く、歯を抜くこともほとんどなくなりました。
検査を行い、除菌(歯周病菌)やカビを除去して、その状態を継続することによって、健康なお口を保てるようになります。歯周病は接触感染(風邪やインフルエンザと同じ)でうつる病気で繰り返し感染します。うつっても症状(風邪やインフルエンザのように熱が出たり、咳が出たり)がなく、わかりません。検査によってのみわかります。これが顕微鏡検査の効果です。
歯周病は歯周病菌による感染症ですので、細菌の除去が必要になります。外科手術を行う場合もありますが、歯周病菌のタイプがわかれば効果的な抗生剤を投与することは可能ですので、併用治療が行われる場合もあります。ですが、抗生剤による副作用がないとは言い切れません。歯磨き時には歯周病チェックを行い、適切なブラッシングで歯周病を予防するのが一番ですので、歯ブラシや歯間ブラシなどをうまく使って歯周病を予防しましょう。